テーブルに広げられたタロットカードを、一枚めくる。裏に書かれているのは運勢ではなく、今日あなたが吸うシーシャのフレーバーミックス——そんな注文の仕方ができる店が、札幌の狸小路にあります。
シーシャの話題はどうしても東京・大阪に偏りがちです。でも断言します。札幌には、東京では逆立ちしても出会えない煙があります。今回の主役は、タロットで一台を選ぶ「ugo Neck of the Woods」と、すすきのの「BOSON SHISHA LOUNGE」。そして時間が許すなら、薪ストーブの待つugo本店(豊平)まで。このためだけに飛行機を取っても、きっと後悔しません。
なぜ札幌のシーシャは「刺さる」のか
東京のシーシャはネオンと深夜営業の都市型文化です(東京エリア別シーン解説)。一方の札幌は、長い冬と共に暮らす街。「暖かい室内で、ゆっくり時間を溶かす」ことの価値を、この街の人たちは誰よりも知っています。つまりシーシャの「チル」(チルとは何か)という文化と、札幌という街は、最初から相性が良すぎるのです。薪の火、雪の気配、深夜のすすきの。同じフレーバーでも、ここで吸う一台には東京にない情緒が混ざります。
そして肝心の「味」が、この2軒は頭ひとつ抜けている
雰囲気の話を先にしましたが、誤解しないでほしいのは——この2軒、北海道のシーシャの中でも味が図抜けているということです。それは筆者の主観だけではなく、クチコミの声にはっきり表れています。
ugoのGoogleクチコミは、星5がずらりと並びます。「シーシャとても美味しかったです!」という声が複数、「グッドシーシャでした」と端的に味だけを褒めていくレビューまで。なぜそこまで美味いのか。理由は作り方にあります。ugoは決まったメニューを機械的に出す店ではなく、店員が一人ひとりに親身にヒアリングして、その人のための一台を組むスタイル。使うフレーバーもBombshellの人気ミックス「森林」やPan Rasnaといった、通が唸る銘柄をきちんと押さえています。丁寧な対話×良い葉。美味しくならないはずがない。そしてその味の哲学は、狸小路のNeck of the Woodsにもそのまま受け継がれています。タロットで引いたミックスがそのまま美味しい——つまりカード化されている全ミックスが完成品ということ。実際にタロットで選ばれたリコリス系の一台も「すっきりした味わい」と評されており、運任せの一枚が外れないのは、裏側の設計が確かだからです。
BOSONは「世界基準のシーシャ」を看板に掲げる店です。Yahoo!マップのクチコミには「札幌でおすすめのシーシャ。友達とのんびり女子会する時にいつも使ってます」と、リピーターの声。味がクリアに感じられる理由のひとつが、店内が加熱式たばこ専用であること。紙巻きの煙が混ざらないから、フレーバーの繊細な香りが濁らずに立つのです。さらに専属パティシエのスイーツと7種のオリジナルドリンク「Frova」は、シーシャの味を引き立てる相棒として設計されていて、「オリジナルドリンクどれも美味しかったです!また行きます!!」という満点レビューも。煙・甘味・一杯の三位一体で味わわせる店は、札幌ではここだけでしょう。
ugo Neck of the Woods|タロットが決める、今日の一台
まず昼の主役から。狸小路3丁目のアーケードから徒歩1分、すすきの駅からも徒歩2分。もりにビルの5階でエレベーターを降りると、モルタル打ちっ放しの壁にヤシの木とネオンが揺れる ugo Neck of the Woods が現れます。豊平の古民家シーシャ「ugo」が札幌のど真ん中に開いた2号店です。
この店の名物が、冒頭に書いたタロットカードでのフレーバー選び。テーブルに置かれた黒いタロットをめくると、裏にフレーバーミックスと説明が書かれています。じっくり読んで選ぶもよし、見ずに引いて「今日の一台」を運命に委ねるもよし。シーシャは吸うたびに「次は何を頼もう」と迷うのが常ですが(単品オーダーの極意)、その迷いごと遊びに変えてしまう発明です。カードの一枚一枚がそのまま店のミックス帖になっている——つまり、引きを外しても美味しいように設計されているのが憎い。
- シーシャ 2,300円(2名シェア可)/トップ替え 1,500円
- チャージは18時まで300円・以降500円。狸小路エリア屈指の良心価格
- 月〜木 12:00〜翌1:00、金・土・祝前日 12:00〜翌2:00、日 12:00〜翌0:00
昼12時から深夜まで通しで開いているのも強い。狸小路での買い物途中に一服、大通で遊んだ帰りに一台、すすきのに繰り出す前の腹ごしらえにカクテルと月替わりサンドイッチ——札幌中心部の「とりあえずここ」として、これほど頼れる立地と価格はありません。
もうひとつのugo|豊平の本店には、薪ストーブがある
Neck of the Woodsで惚れたら、ぜひ豊平の ugo本店 へ。菊水駅から徒歩6分、築50年の古民家をまるごと使った複合空間で、1階はオーナー夫妻が選び抜いた雑貨のセレクトショップ、2階には「雨後乃水煙草店」の看板が掛かるシーシャスペース。冬は薪ストーブの火を眺めながら煙をくゆらせるという、都心のラウンジでは何万円積んでも買えない体験が待っています。シーシャは1ドリンク付き3,500円。街なかの2号店と、住宅街の本店。同じugoでもまったく違う顔を見せてくれるので、ハシゴする価値は十分です。
BOSON SHISHA LOUNGE|日没とともに、店が変身する
日が落ちたら、すすきのへ。すすきの駅から徒歩6分、南6条西5丁目のアイビル6・5の4階でエレベーターが開くと、そこは総席数40席の BOSON SHISHA LOUNGE。この店のいちばんの見どころは、時間帯によってまったく別の店になることです。
15時の開店直後は、光の入る穏やかなカフェ。それが夜になると照明が落ち、石壁と白壁のコントラストに間接照明が滲む、幻想的なラウンジへと沈んでいきます。同じ席で昼と夜を過ごすと、本当に同じ店かと疑うほど。
そして、この店は「シーシャに合わせる一杯・一皿」への本気度が札幌屈指です。専属パティシエが作るスイーツ、惑星をテーマにしたオリジナルカクテル、7種のオリジナルドリンク「Frova」。ガトーショコラと紅茶で始めて、夜が深まったら惑星カクテルに切り替える——シーシャとドリンクのペアリング(ペアリング論)を一晩で遊び尽くせる構成になっています。
- タイムチャージは18時以降、2時間1,100円+延長1時間500円
- 飲み放題 2時間2,200円あり。飲みメインの夜にも
- 月〜木・日は翌3時、金・土・祝前日は翌5時まで
- 紙巻き不可・加熱式たばこのみ。だから空気がきれい
カウンター4席・BOX席5卓・ロングソファー3卓。ひとりでふらりと吸いに来ても、大人数で騒いだ帰りでも、ちゃんと収まる席がある。すすきので飲んだあとの、締めのラーメンならぬ締めの一台。金・土は翌5時まで開いているので、「まだ帰りたくない夜」を最後まで引き受けてくれます。
札幌シーシャ、理想の一日
| ugo Neck of the Woods | BOSON | ugo本店 | |
|---|---|---|---|
| エリア | 狸小路(徒歩1分) | すすきの(駅 徒歩6分) | 豊平(菊水駅 徒歩6分) |
| 空間 | モルタル×ネオンのカフェ | 40席の変身型ラウンジ | 築50年の古民家・薪ストーブ |
| 時間帯 | 昼12時〜翌1時/翌2時 | 15時〜翌3時/翌5時 | 昼〜24時まで |
| 料金 | 2,300円+チャージ最大500円 | チャージ制+飲み放題あり | 3,500円(1ドリンク付き) |
| 過ごし方 | タロットで一台・買い物途中の一服 | スイーツとカクテル・深夜の締め | 火を眺める・読書・静かなデート |
嬉しいのは、Neck of the WoodsとBOSONが徒歩ハシゴ圏内だということ。昼すぎに狸小路でタロットを引いて一台、大通で遊んで、夜はすすきののBOSONのソファに沈む——移動時間はほぼゼロです。翌日に余裕があれば、豊平のugo本店まで足を延ばして薪ストーブの前へ。ジンギスカンと味噌ラーメンの間にこの3軒を挟めば、札幌旅行の記憶が一段深くなります。
シーシャ自体が初めての人も心配いりません。どちらの店も「初めてです」のひと言で丁寧に迎えてくれます。初心者向け完全ガイドとスマートな頼み方を予習しておけば完璧。料金の仕組みはシーシャの料金相場でどうぞ。
まとめ|札幌の煙は、東京より温かい
- タロットが選ぶ、外れのない一台 → ugo Neck of the Woods(狸小路)
- 日没とともに変身するラウンジで、世界基準の一台とペアリング → BOSON SHISHA LOUNGE(すすきの)
- 薪ストーブの前の特等席で、対話から生まれる満点シーシャ → ugo本店(豊平・菊水)
雪の街のシーシャには、暖を取るように煙を吸う、独特の心地よさがあります。次に札幌へ行く用事ができたら——いや、この2軒を用事にして、札幌へ行ってください。



